時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
ここじゃない何処かへ
少々、風邪気味。雨模様が続くので、無理をせず自宅で大人しくする。

「キューブ」(監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ)を観る。テレビゲーム的な作品だが、なかなかの良作。メタファーについては、作中人物達によって充分語られている。即ち、この社会は分業化が進み、自分の仕事がどのような意味を持ち、何の役割を果たしているのか、判らないようになっている。丁度このキューブの中にいるようなものだ…
ラストの脱出のくだりの解放感は、私達の自身の住まう、この不条理な社会からの脱出を暗示している。
無論、そういちいち小難しく考えずとも、楽しんで観られる作品にはなっているので、一度手にとってみるといいだろう。

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↓あまりにもバカバカしいので吹き出した。
書籍「アインシュタイン その生涯と宇宙 下」が機械翻訳だったため回収へ
http://gigazine.net/news/20110730_randomhouse/
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武蔵野市民学校情報
知人が開催している、武蔵野市民学校の上映会の件。今日、案内状が届いていたので転記する。
「7/31 13:10~龍馬暗殺
上映後、おしゃべりタイムを設けます」

会場はいつも通り、志木市柳瀬川図書館。入場無料。
先日亡くなった原田芳雄の追悼企画とのこと。「龍馬暗殺」は黒木和雄がATGで制作した作品である。龍馬の暗殺事件を内ゲバ殺人として描き、当時の世相を反映させたもの。このあたり、今日の社会にも共通するものが有りそうな気もする。松田優作が暗殺者役で出演しているので、優作ファンも必見だろう。
たまには顔を出したいが、家から遠いんだよな~

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別れの儀式
昨日の続き。
晩年の小松左京のやつれた姿は、見るにしのびなかった。アシモフは「地球のように」太り、小松は「デス・スターのように」太った、とかんべむさしに冷やかされた恰幅のよさは、見る影も無かった。実に辛い。

私は小松のあまりよい読者ではなかった。少年時代は、むしろ星新一や筒井康隆の作品の方をよく読んでいた。
「復活の日」を読んだのは中学生ぐらいの時だろうか。「日本沈没」は読了するのにやたら時間がかかったのを覚えている。小松にはこの種のシミュレーション小説が相当数あるが、あまり魅力は感じなかった。「見知らぬ明日」の出来は今ひとつに思えたし、「首都消失」は映画のポスターとなった生頼範義のイラストだけが魅力的で、結局は未読となっている。尚、舛田利雄監督の劇場版は残念な出来映えだった。
小説版「さよならジュピター」も高校生の時分読もうとして結局そのままとなり、小松本人が制作した劇場版は未見のまま(こちらの理由は周知の通り)。尚、断っておくが、この小説版は「原作」ではない。小松が無謀にもタルコフスキーやキューブリックの向こうを張ったSF映画を企画し、脚本も自分で執筆し、その副産物として生まれたのが小説版である。
そうした多彩な作品群の中でも、「果てしなき流れの果てに」「虚無回廊」は別格だった。重厚な筆致で読者を途方もない世界にいざなう、その力量には眼を瞠った。私の所持する単行本はいずれも生頼範義の装丁だが、本の内容とよく見合った力強い画風が、その感激を十二分に増幅していた。

一方、小松の社会評論はどうも酷い。子供向けの科学雑誌に相応しいような、進歩史観に裏打ちされたような文明論はあまりにも無惨である。エコロジーを語るときもまたしかり。これだけ文学的な研鑽を積んだ人が、なぜこんな政財界のおエラ方のような陳腐な社会観を記してしまうのか、全く理解できなかった。概して、人類だの地球文明だのといった概念を振り回せば、どうしても嘘になってしまうものだ。万博も花博も、壮大な無を築き上げたという他ない。「虚無回廊」の執筆放棄もここに起因している。

小松作品はSFというジャンルの枠で語られてしまうことが多く、一人のもの書きとしての作品論があまりなされていないような気がする。親友の高橋和巳など、同時代の文学作品との比較研究がなされてもいいのではないだろうか。尚、小松と同世代の作家としては、他に高橋たか子、小田実、五木寛之、開高健、澤地久枝、有吉佐和子、野坂昭如、団鬼六、石原天罰男などがいる。映画監督では大島渚や深作欣二がおり、この辺りから小松作品への眼差しを再検討してみると面白いと思う(ちなみに國弘正雄や高島忠夫は中学時代の友人)。

ついでにいうと、深作の「復活の日」はいい所もあるが、傑作とは言いがたい。とはいえ、少年時代の印象なので、もう一度観てみたい気もする。

とりあえず、本棚にあった小松本はこれだけ。後は押入れの中。整理しないとなぁ。
自伝「やぶれかぶれ青春記」は一読をお勧めする。
komatsu

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小松左京逝く
小松左京が亡くなった。今、飲み会の帰りのため、詳細を記すのはきつい。明日、改めて詳しい記事を記したいと思う。
「日本沈没」ばかりが話題にされているが、私が最も衝撃を受けたのは、「果てしなき流れの果てに」であり、「虚無回廊」だった。後者が未完に終わったのは惜しまれて余りある。
今頃あちらでは、先行した高橋和巳と酒を酌み交わしながら、文学談義に華を咲かせていることだろう。少し彼の作品を読み直したくなった。尤も、その為には押し入れを引っ掻き回す必要があるのだが。

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ウィルスたちが行く
バリントン・J・ベイリー「スター・ウィルス」読了。
主人公はちゃきちゃきの宇宙海賊。ある日から、彼は戦利品である謎の「レンズ」を巡り、宇宙生物達と激しい争奪戦を繰り広げることになる。戦いで仲間を次々に失っていく中、主人公はやがて「レンズ」の正体を知るにいたる。そこには宇宙の運命を大きく変えてしまう、途方もない力が秘められていた…

ベイリーのデビュー作だが、若書きであることはそれ程感じられない。というより、この人は作家的成長があまり見られないといったほうがいいのだろうか。後の作品とも共通する荒削りさが目立ち、率直に言って、終盤の展開は少々わかりづらい。
だが、途轍もない形而上的な世界を描き出す力は、このデビュー作から充分に備わっている。主人公達人類が、最終的に宇宙全体にとんでもないダメージを加えてしまうという辺り、よくもやってくれたものである。無茶な世界を目の当たりにさせるような、そんな小説が好きだ。埴谷雄高なら「不可能性」というのだろうが。

starvirus

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やっと…!
「ガラスの仮面」47巻を入手。やっとストーリーが動き出した。前巻の泥沼の展開が些か安っぽかったため、不安を覚えたが、何とか落ち着く所に収まったようだ。ここまで来るのに何十年かかった?
それにしても、マツコ・デラックスの次はデーブ・スペクターか…勘弁して。

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狂犬、走る!
「暴走パニック 大激突」(監督:深作欣二 脚本:神波史男・田中陽造・深作欣二)を観る。
狂犬時代の渡瀬恒彦が銀行強盗として暴れまくる話。中島貞夫監督の「狂った野獣」と比較される一品である。「狂った野獣」は名画座で観ているが、こちらもとんでもない大傑作なので、未見の方にはお勧めしたい。どちらも全編を通じ、ひたすらアナーキーな暴力性が吹き荒れる作品である。
本作の圧巻は終盤のカーチェイスで、ここまでやるかと思わせる出鱈目振りを発揮する。川谷拓三の不良警官ぶりがバカバカしくて、なんとも愉快。この手の警官を徹底的にバカにしたストーリーは、最近ではなかなか作りにくくなっているようだ(実際には当時からもクレームはあったようだが、鈴木則文などは従う振りをしてガン無視を決め込んだという)。NHKをおちょくったくだりなども、笑いが止まらないので、一見の価値があるだろう。
散々滅茶苦茶をやりつくした後、主人公達が「アメリカ銀行」を襲撃するというのは実に象徴的である。つまり、アメリカを打倒したかったのだ。ここに深作欣二達制作陣の政治的意思を読み取ることは容易だろう。脚本家の錚々たる顔ぶれからも、それは窺われる。
小賢しい良識などとは無縁の、映画の底力を思い知らせてくれる傑作だった。

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捲土重来!
「コクリコ坂から」(監督:宮崎吾朗 脚本:宮崎駿)を観る。予想外の傑作だった。やはり「長い眼で見よう」で良かったのだと思う。

ストーリーはオーソドックスなボーイ・ミーツ・ガールのパターンを踏襲している。共学である点を除けば、殆ど旧制高校のようなレトロな高校が舞台だ。
だが、劇中の「カルチェ・ラタン」と呼ばれる建物には既視感がある。大学のサークル棟や学生会館とあまり変わらないからだ。

私が大学生活を送ったのは90年代半ばであったが、サークル棟など鬱蒼としていて不気味な様相を呈していた。あちこちが落書きだらけ。「解放区」「当局者の立ち入りを禁ず」「学生は金のなる木じゃない」「権力の介入を許すな」等々。社研、革マル、ノンセクトの貼り紙もそこら中に見られた(無論、キャンパスの中央には立て看がどーんと置かれていたものだった)。そんな建物の中でもひときわ異様な雰囲気を醸しだしていたのがわが美術研究会であった。毒々しい色彩で部室の内外に妙ちきりんな図像を描きまくり、なかなか人を寄せ付けない不気味な磁場を発生させていた。それでも、馴染んでしまえば心地いいもので、酔っ払ってはカンバスに出鱈目な情念を叩きつけていた。

閑話休題。「カルチェ・ラタン(ラテン区)」の名称はいうまでも無くパリの学生街の名称から採られたもの。68年の五月革命の際には警官隊との激しい攻防が繰り広げられたのは周知のとおり。
「樽の中のディオゲネス」のくだりは少しでもギリシア哲学を齧った経験のある人ならば、冒頭の段階ですぐにピンと来るはずである。私も「ははあ、やってくれるな」とにやりとした。しかしそれにしても、この学生、なかなか憎めない。
前述のように、話自体はオーソドックスではあるが、「アリエッティ」のような不自然でふざけた台詞や展開も無く、父親をめぐる一連の件りはなかなかしっかり作っている。
ラストが理事長の鶴の一声で決まってしまうのは不満が残り、この辺り大いに減点材料だが、それでもここ数年のジブリ映画の中では最も良質の作品と思えた。



ところで、駿翁が「少女も少年達も純潔にまっすぐでなければならぬ。異性への憧れと尊敬を失ってはならない」などと血迷った能書きをたれているのを目にし、憎悪を感じた。何を言っているんだ?こんな道徳訓話の何が面白い?映画って、そもそも不良の文化だぜ?ついでにいうと、後段の発言は翁による、裏返しの女性蔑視とも取れる。対等に見做していないからこそ、やたら奉ろうとするのだ。
恐らくこの発言は翁の本音なのだろう。にもかかわらず、脚本を務めた本作がうまくいっているのは、吾朗達制作陣の力もあるが、彼の作家としての身体性がなせる業だと思う。つまり、理念と作家性に(幸運にも)ズレがあるのではないだろうか。
帰宅後、口直しに深作欣二の「暴走パニック・大激突」を観る。やっぱこれが映画だよなあー。レビューは後日。

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因果な商売である
この所夜が涼しい。このまま秋になっていけば…などとわけの判らんことを考える。それはそれで不都合も多いだろうに。それにしても、夜になかなか寝付けないのはなぜだろう。
図書館でSF小説他、数冊を借りる。ん?そのうち一点の表紙に見覚えがあることに気が付いた。しばし考えた後、これは自宅に所蔵しているものと同じ本であると思い至る。読まずに放置していたため、所持していることすら忘れていた。情けない。

「こち亀」劇場版という、トンデモ映画の公開が近づいているため、ドラマ版の第一巻を借りて観る。
これは凄い。失敗した学芸会なんてレベルではない。頓珍漢もここまで来ると、清々しくさえある。
これまで「シベ超」「死霊の盆踊り」「少林少女」「DRAGONBALL EVOLUTION」等々といった途轍もない珍作を眼にしてきたが、来月の劇場版は期待大?…あくまでもマニアとしての私見だが。
香取慎吾がここ数年何の罰を受けているのか知らないが、彼にはドラマ版の出来栄えにつき、何の責任もないことは確認しておこう。

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ノルウェイの爆弾
ノルウェイでとんでもない事態になっているらしい。オスロの爆弾事件とキャンプ場の銃撃事件。
極右だの、キリスト教原理主義だのといった憶測が飛び交っているが、真相は?

(追記:アルジャジーラの報道では、今後の見通しとしては以下の通り、21年は喰らうだろうとのこと。
If convicted on terrorism charges, he would face a maximum of 21 years in jail, police have said.)




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テレビはあまり好きではない
アナログ放送終了だと。我が家はたまたま古いテレビがぶっ壊れたため、地デジ対応テレビに切り替えたのだが、そのままだったら横着を決め込んで放ったらかしていたかもしれない。下らん国策に振り回されたら溜まったものではない。

↓まあ、確かにテレビなど見ているよりは、もっと時間を有効に使う方法は幾らでもあるよなぁ。


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松方さん、どこで道を間違えたんですか
明日から実写版「忍たま」公開か…三池~!
気を取り直して、「映画秘宝」9月号を眺める。この雑誌にしては異色の、新藤兼人(御年99歳!)、中沢啓治のインタビューが面白い。中沢から「仁義なき戦い」の感想を引き出したのは大したものだ。
「ジャッカス」のライアン・ダンも死んだんだよなぁ。私も第一報を耳にしたとき、てっきり撮影中に亡くなったものと思ったが、実際は交通事故。どんな人間であれ、死ぬときはあっけないものらしい。やれやれ。
渡辺文樹の「金正日」は観てみたい。この人の映画はまだ一回も観ていないので、機会を窺っているのだが、なかなかチャンスが回ってこないのが残念。
あと、「吐きだめの悪魔」(監督:ジム・ミューロー)の国内版DVDが発売されるようなので、ホラーファンは要チェックだろう。基本的にこちらのサイトでのみ購入可能らしい。
http://www.allcinema.net/dvd/index.html

映画秘宝 2011年 09月号 [雑誌]映画秘宝 2011年 09月号 [雑誌]
(2011/07/21)
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武蔵野市民学校
会場はいつも通り志木市柳瀬川図書館・入場無料
7/24 13:10「父ありき」14:50「浪華悲歌」

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あちらこちら命がけ
私的なことだが、この所生活環境が足元から崩壊しそうな気配があり、焦っている。落ち着いて一息つけるようになったら詳細を記そうと思うが、どうも精神的な余裕がない。
ひょっとすると、このブログも更新が滞るかもしれない。一刻も早く落ち着きますように。

それにしても、東電OL事件、言わんこっちゃない…
ゴビンダさんの件では当初から支援活動が取り組まれており、冤罪事件として私も注目していた。ここまで放置するとは、幾らなんでもまずいだろう。

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武蔵野市民学校情報
武蔵野市民学校の件、忘れないうちに記しておく。この間、変な精神状態にあったので、すっかり失念していた。
会場はいつも通り志木市柳瀬川図書館・入場無料
7/24 13:10「父ありき」14:50「浪華悲歌」

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原田芳雄逝く
原田芳雄が亡くなった。あと、我が家のカメも亡くなった(おい)。
私が印象に残っているのは、やはり「竜馬暗殺」「寝盗られ宗介」のあたりか。「実録・連合赤軍」のナレーションも素晴らしかった。渋い声のブルースも心に響いた。「スリ」はDVDが手元にあるがまだ未見。若松孝二が語ったように、いい人は早く死んでしまうのだろうか。
「われに撃つ用意あり」「シンガポール・スリング」のDVD化を切に希望する。「キスより簡単」の再発も。
原田さん、我が家のカメのこと、よろしく頼みます(だから何故!)。



kame

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フィクションとしての理論体系
バリントン・ベイリー「禅銃(ゼン・ガン)」読了。ベイリーを読むのも久しぶりだ。
タイトルからして際物めいているが、必ずしもそうではない。多少珍妙な設定はあるが、オーソドックスなワイドスクリーン・バロックである。とはいえ、小説としては少しゴチャゴチャしすぎている感が否めないのは事実である。もう少し整理したほうがよかったと思う。
本作はベイリーが創作した独特の科学理論が機軸になっているが、このあたり、やたら晦渋で判りにくい。ここで躓いてしまうと、読み進むのが難しくなるだろう。私も、この辺りの内容を充分理解したとはいいがたく、苦労した。
ところで、この感覚はどこかで経験したことがある。「モビイ・ディック」の「鯨学」・・・いや、むしろ「ドグラ・マグラ」中盤の脳髄論の方が近い。やたらとっつきにくいのだが、それ自体が一つの創造的な達成点となっているような理論体系。ベイリーの疑似科学理論も、これと同じようなものといえないだろうか。まあ、あまり堅苦しく考えずに、読みながら一度頭をひねってみるのも一興だろう。

zengun


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虫けらにも五分の意地
「北陸代理戦争」(監督:深作欣二 脚本:高田宏治)を観る。
深作実録ヤクザ映画の最終作。主人公の妻が、実の兄(地井武男)をぶち殺す場面が圧巻。ラストの海岸の場面など、破天荒な暴力シーンが多い。だが、深作の暴力には身体性がある。押さえ難い情念が沸点に達し、ぐらぐらと煮えたぎっている感がある。
実録ヤクザ映画は、それ自体が社会や政治構造のメタファーとして成り立っている場合が多い。深作欣二においてはそれが著しく顕著である。本作においても、社会的強者に痛めつけられてきた者達の怨念がみなぎっていると思える。松方弘樹の主人公が言う。
「飢えた狼には盃も茶碗もありゃせんですよ。事と次第じゃ親兄弟だって食い殺しますわ」
北陸という地域性を見事に取り込んでおり、地霊の怒りのようなものが噴出した傑作であると思えた。

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(2003/06/21)
松方弘樹、千葉真一 他

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すべてを疑え
タマコロガシの話はどうでもいい。

我々の見ている世界は全て捏造された嘘っぱちのもので、本当の世界はまったく別の様相をしている・・・これがフィリップ・K・ディックの小説群の主要なモチーフだった。映画では「マトリックス」その他、サイコホラーでもお馴染みの主題である。
一種のパラノイア(偏執狂)的な世界観といえるが、これらの創作物が生まれる事には理由がある。古くはベトナム戦争、昨今ではアフガン、イラク戦争などにおいて、ハレンチな情報操作が国家的規模で行われた。我が国では戦時中の社会環境、身近な所では昨今の原発を巡る一連の出来事において、生々しく実感される所だ。
公権力や報道機関が、これまで長きに渡り築いてきた化けの皮が剥がれ、世界は著しく不安定な様相を見せるようになった。「全ては偽りの世界だったのではないか?」という不安感は、我々もまた共有する。
我々の世界が、ひとつの約束事で成り立っているということは、現代思想を齧ったことのある人ならお分かりと思う。廣松渉なら共同主観性というところだ。
この約束事が、無前提なな真理として一人歩きするとき、とりわけ公権力による恣意性と結びつくとき、これは警戒すべきものとなる。エンゲルスの「支配階級の思想が支配的」という言い草は物々しくて好きではないが、与えられたストーリーを鵜呑みにする愚は避けたいと思う。

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妄想漫遊記
水戸黄門、ついに終了か。我が家もこの時間帯は「Qさま」なので、続いていることすら認識に無かった。
そこで提案。登場人物を全員萌え化して、アニメ版として制作するというのはどうだろう。助さん格さんも女体化。まあ、全員女性というのもキツくなりそうなので、黄門様は普通っぽい少年で・・・イメージとしては「ハルヒ」のキョン君あたりか。もはやご老公でも何でもないが。
入浴シーンも不可欠。折角なので、由美かおるをお銀役の声優として復帰させるというのもいいだろう。私は俳優に声を演らせるのは、雇用問題として反対だが、これには誰も異存はないと思う。
勿論、「力だすき」は必須アイテム。「これさえあれば百人力!!」(笑)

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スタンバイの思想
色々と空回りが続いている。人生にうまくいかないときは、焦ってあまりじたばたしても仕方がない。鬱状態になる等、よくない結果がもたらされるばかりだ。
無論、逃げることは不毛だし、逃げられるものでもない。やれることをやった上で、必要なことは、スタンバイだ。常にスタンバイの状態にいること。そして、チャンスが訪れたらいつでもモノに出来るように、臨戦態勢でいること。だが、まずは肩の力を抜くことだろう。

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いたいけなる殺人鬼
「悪い種子(たね)」(監督:マーヴィン・ルロイ)を観る。幼い少女が連続殺人に次々と手を染める話。漫画家のわたなべまさこがこれを下敷きに「聖ロザリンド」という優れた傑作を著したのをご記憶の方も多いだろう。

劇中では、少女ローダは遺伝的な理由で良心を持たない、先天的な犯罪者であるとされる。つまり犯罪者の血統であるということだ。今から思えばナチス的な血統主義であり、陳腐な疑似科学といえる。現に劇中でも登場人物によってこの発想は批判されている。我々観客としてはこの辺りは割り切って考えていい。純然たるフィクションとして、サスペンス・ホラー作品として本作は鑑賞されるべきである。
さて、映画としての評価であるが、観ていて決して飽きさせることがない。全体に登場人物の演技は舞台演劇的で、ややオーバーアクトが目立つが、それすらもあまり気にならないほどだった。特にローダ役の少女の演技には鬼気迫るものがあり、私達をぐいぐい惹きつけて放さない。尚、本作はヘイズ・コードにより結末が改変されているという。私は原作小説もリメイク版も知らないのだが、悪辣な表現規制にもかかわらず、よく健闘していると思えた。

昨今、サイコパスなる概念がやたら濫用され、ジャーナリズム界においても、この危険性を煽り立てる不安ビジネスが横行した。嘗ては犯罪の背景について、人々は必死に思いを巡らせた筈である。だが、サイコパスという概念が登場した途端、一切はこのキーワードによって説明されることとなった。
事件があった。動機は何だろう、いや、動機なんか考える必要はない。犯人はサイコパスなのだ。かくして今日生起する犯罪は、サイコパスによるものとされていく。
わけのわからない事件が増えたのではない。わかろうとしなくなっただけのことである。人々が物を考えることを放棄したのだ。危険があるとすれば、むしろこの点であると思われる。

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間尺に合わん仕事をしたのう・・・
会社で人事関係のゴタゴタ。皆、悩んでいる。詳しい内容は差し控えるが、酷いもんだね。どれだけ振り回すつもりだろう。会社はこんなだし、政治では狂った規制策動を目論む連中がいるし、いい加減にして欲しい。
あまり読書に集中できる状態ではないのだが、加藤周一の本を少し読む。表現の自由を巡るくだりがしっくり来ない。具体的にいうとパステルナークのノーベル賞辞退問題の件だが、やはり加藤はソ連に甘かったのではないかと思ってしまう。無論、加藤も表現規制には反対であり、この辺り少々論が込み入っているのだが、どう読んでも言い訳めいて聞こえるのだ。

それにしても、今もって小泉純一郎の人気が高いって、一体どうなっているんだ?天罰野郎は圧勝するし、マゾヒストか馬鹿ばかりなのか?ついそう思ってしまう。

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実話怪談考
永久保貴一「生き人形」を眺める。稲川淳二の怪談としてお馴染みのストーリー。この話の信憑性についてはさて置き、フィクションとして語ることと、実話としてストーリーを語ることの違いについて色々考えた。たとえ同じ内容であっても、両者の与える効果には大きな相違があるはずだ。

恐怖を語る際は、相手に当事者意識を持たせることが重要となる。フィクションにおいてはドラマ作りの緻密さや強靭さ、演出の巧みさによって鑑賞者を巻き込んでいく方法が採られる。
実話形式においては、視聴者が既に事件に巻き込まれている、と印象付けることとなる。具体的にいえば、視聴者に「この霊に睨まれている、憑依される」といった恐怖を体感させることが決め手となる。また、実話形式においてはフィクションとノンフィクションの境界を曖昧にし、後々まで恐怖を持続させることが大きな特徴だろう。
多くの鑑賞者はこの曖昧さと上手に戯れることにより、娯楽として恐怖を享受することになる。たまにここで「物語られた恐怖」への距離感覚を摑みそこなった、電波な人達が周囲を騒がせることがあるが、ハタ迷惑な話である。
いよいよ怪談、ホラーの季節が本番を迎えるが、ホラーファンとしてはこれらと上手に付き合っていきたいし、また、それに見合う優れた作品が生まれることを願ってやまない。

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リアリズムの彼方に
ストレステストをめぐる菅バッシングに不自然な異様さを感じる。何か裏があるのではないかと思ってしまうのは私だけだろうか。

ジブリ作品の方向性について、宮崎吾朗曰く「しばらくはファンタジーから離れることになると思う。いまはファンタジーが作られ過ぎているし、大震災という現実を前にすると生半可なファンタジーは作れない。今後は、現実に軸足を置いた作品が作られるはず」
現実路線を目指すということだが、どうなるのだろう。実録映画とか?ジブリ版「仁義なき戦い」が作られたら面白いな。失敗しても、試みだけで評価したいぞ。頼むから、アニメで小津をやるのはやめてくれ。
「われらは遠くから来た、そして遠くまで行くのだ」
休暇を取得するが、この暑さ。午前中はぐったりとなる。
本屋で毛利甚八「白土三平伝 カムイ伝の真実」を見かけ、早速購入。白土三平となると買わない訳にはいかない。もっとも、先頃復刊した「甲賀武芸帳」にはさすがに手が出ないが。バラ売りするか、もっと安価にしろー。
さて、「白土三平伝」だが、ざっと見た所、内容的にはかなり薄い。真新しい事柄はあまり多くなく、四方田犬彦の「白土三平論」の方が遥かに有益である。ただ、近年の白土の動向に触れている点では、本書の意義は見逃せないだろう
白土三平の関連書には、他、中尾健次「カムイ伝のすゝめ」、田中優子「カムイ伝講義」がある。出来不出来は別として、少しずつ研究書が現れていること自体は歓迎したい。今後より一層、密度の濃い論稿が出現することを期待したいと思う。

白土三平伝-カムイ伝の真実白土三平伝-カムイ伝の真実
(2011/07/01)
毛利 甚八

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日本版の主題歌を再評価しよう
昨日よりは状態はいい。しかし、暑くて何も出来ず、くたばったままと相成る。
午後、部屋の片付けをする。部屋の奥から「人物探訪 日本の歴史」を引っ張り出す。写真は第15巻「幕末の英傑」。以前にも述べたが、子供の頃から夢中になって読んでいた本である(決して子供向けの本ではない)。今読み返してみると、さすがに色々不満が残る。結局司馬遼的な、英雄譚的歴史認識に終わってしまっているのだ。
官軍はヒーローでもなんでもない。以前にも述べたので一々繰り返そうとは思わないが、明治維新史は、注意深く検証する必要がある。

baku_ei

「スター・ウォーズ」(監督:ジョージ・ルーカス)を観る。無論、77年の劇場公開版である。何度も観た映画だが、細かい内容をあまり覚えていない。
で、観終わってどうかと言うと、改めて感想を記すほどのものでもない。ガキの映画には違いないが、こういうものもあっていいだろう。それにしても、DVDのジャケットは最悪で、センスのかけらも感じられない。何とかして欲しい。
「ゆーけーはるか遠ーく、銀河系ーを越ーえてー」子門真人の手によるこの主題歌をより多くの人に広めたいと思うのは私だけだろうか。どうせやるならここまでやれ。

スター・ウォーズ 新たなる希望(エピソードIV) (リミテッド・エディション2枚組) [DVD]スター・ウォーズ 新たなる希望(エピソードIV) (リミテッド・エディション2枚組) [DVD]
(2009/11/18)
マーク・ハミル、ハリソン・フォード 他

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ある日
朝からひどい自己嫌悪が続く。ベローチェで本を少し読むが、まるで頭に入らない。図書館に行き、リクエストした本を借りてくる。どうせ読まないだろうと思うが。
夕方から鬱状態が酷くなる。激しい劣等感に襲われ、人間が嫌になり、悶々として過ごす。テレビを見ても少しも面白くなく、苦痛にしか思えない。よって、もう寝る。

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取り急ぎ雑誌の感想など
「創」8月号、「週刊金曜日」7/8号を読む。
「創」は原発関連の記事がなかなか充実している。とりわけ、森達也の「後ろめたさや負い目を持続できるなら、悪くない、声高に誇りや品格を叫ぶよりはずっといい」という内容の件りはとても心に残った。
田原総一郎が拉致問題でまた際どい発言をしている。かいつまんでいうと、拉致被害者がまだ数人残っているのは裏が取れており、北も帰したがっているとのこと。ただ帰国させると、前回のように日朝関係が却って悪化することが懸念されるため、両国とも足踏み状態が続いているらしい。
多分本当のことだと思うが、こんな事喋って大丈夫か?でも、鈴木邦男に間に立ってもらうというのは大賛成。世論が紛糾しそうになったら鈴木邦男が一喝するということで。いや、度量のある人が他にいないのですよ。
そもそも、民主、自民にしても、こんな火中の栗を拾おうとは思わないはずだ。一部の政治家に至っては、むしろ拉致問題を未解決のままにして、票田として利用しようとしているようにも見えるから。

その他の記事では、若松孝二と足立正生の名前が出ていたが、映画の話題ではなく丸岡修の記事の方だった。妙な気分。
あと、坂本順治のインタビューで、「すべからく」の用語法が間違っているのが気になった。いうまでも無く、「すべからく(須らく)」とは「当然~するべき」の意である。澁澤龍彦が嘆くぞ。

「週刊金曜日」では昼間たかし、田島泰彦が例のおぞましい法案~児ポ法改悪案について記事を執筆している。こちらは必見。運動圏に蔓延する勘違いを方向転換できればいいのだが。

創 (つくる) 2011年 08月号 [雑誌]創 (つくる) 2011年 08月号 [雑誌]
(2011/07/07)
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週刊金曜日 2011年 7/8号 [雑誌]週刊金曜日 2011年 7/8号 [雑誌]
(2011/07/08)
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武蔵野市民学校上映会情報
7/9 
13:10~「一人息子」
15:00~「マリヤのお雪」
会場:志木市柳瀬川図書館
無料
(いやー、あまりに直前であるのは確かなのだが、今日案内が届いたんだよね、これ)

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書の果てへの旅
ウンベルト・エーコ、クロード・カリエール「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」読了。
対談と言う性格もあって、体系的にまとまった本ではない。書物、特に古書をめぐる、四方山話である。漫才を読むような感覚で接した方がいいだろう。
正直言うと、あまり後に残るものはない。だが、一種の知的ディレッタンティズムというか、こういう本もあっていいだろうと思う。手元においておきながら、暇なときにパラパラと眺めるくらいが丁度いい。そうして繰り返し目を通すうちに、色々得るものはあると思う。
図書館で借りた本だったが、中古で値段が下落したら一冊購入しておこうかと思う。

もうすぐ絶滅するという紙の書物についてもうすぐ絶滅するという紙の書物について
(2010/12/17)
ウンベルト・エーコ、ジャン=クロード・カリエール 他

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出倫協の件は情報が入らないのでよく判らない。心配だが、明日以降に判明することになりそう。どっちを向いても酷い話ばかりだよ。

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あちこちで息苦しい
内田樹「暴言と知性について」
http://blog.tatsuru.com/2011/07/05_1924.php
まあ、そんなところだろうと思う。ところで、そうなるとどう考えても天罰男の資質について問われなくてはならない筈だが、一体どうなっているのだろう。

和田慎二が亡くなった。「超少女明日香」に全く好感が持てなかったので、あまり作品を読んでいない。「スケバン刑事」も未読のままである。あ、「ピグマリオ」は読んだな。あれは例外的だった。

出倫協の件は、まだ不透明だが、一部で既に懇話会との間で合意が纏まったという誤報が流れているらしい。角川の井上社長のツイッターによれば、「自粛案がまとまったという話はないようです」とのこと。
用心するに越したことはないが、徒に頭に血を上らせるのは非生産的である。当たり前のこととして、抗議や意見を送る際は、厳しさと冷静さを合わせ持つ必要があるだろう。私もメールを送る際は、文言に注意している。

kapi

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のわーる

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首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



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