時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
明日はいずこにありや
アーサー・ペン逝く。嘗て「俺たちに明日はない」において、アメリカン・ニューシネマの旗手に躍り出た監督である。「俺たちに~」を観たのも10年以上前。今観れば、また新しい発見もあるかもしれない。近いうちに再見するつもり。
余談だが、以前実写版「ワイルド7」を観たときに、第11話でこのストーリーがそっくり使われていた。このシリーズはこの辺りから勢いを取り戻してくるので、忘れがたい一編である。悪く言えばパクリとなるだろうが、むしろこれはピカレスク・ロマンの原型のようになっているのだろう(そもそも、パクリも何も、元は実際の事件である)。

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(2010/04/21)
ウォーレン・ベイティフェイ・ダナウェイ

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「ガラスの仮面」45巻を購入。姫川亜弓の目がいよいよ危険な状態になるのだが、やたらストーリーを引っ張っている印象を受ける。終盤に近づくにつれて、どんどん話の進行が遅くなっていくのはゼノンの逆説を思わせるのだが、どうだろうか。
もう少し丁寧に読んでおきたいので、詳しい感想は明日以降にまわそう。それにしても、新宿都庁舎がやたら強調されているのがまた妙な所だ。

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美内 すずえ

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テーマ:心に残る映画 - ジャンル:映画

豪華三本立て!10/9の池袋新文芸座は熱い!
たった今、新文芸座のHPを見て驚いた。オールナイト企画!いいのか?これ。
こういうラインナップを組む新文芸座にはある意味侠気を感じる。スケジュール的に見に行かれないのが極めて残念だ。いや、こういうのは劇場でみんなで笑うのが楽しいのですよ。ご存じない方には「シベ超オールナイト特集」並の破壊力と言っておこう。
尚、私が観たのは「幻の湖」のみ。橋本忍大先生が文字通り暴走した作品。
「さよならジュピター」はレンタルが出ていないので、後ろ髪を引かれる思いがあるのだが…

10/9 ニッポン大作映画の秘かな愉しみ
幻の湖(1982/東宝)監督:橋本忍 出演:南條玲子、北大路欣也、隆大介 22:30~
北京原人 Who are you?(1997/東映)監督:佐藤純彌 出演:緒形直人 1:25~
さよならジュピター(1984/東宝)総監督・原作:小松左京 監督:橋本幸治 出演:三浦友和 3:35~5:45


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テーマ:気になる映画 - ジャンル:映画

酒は百薬の長?
会社の飲み会でしたたか酔っ払う。具合が悪くなりかけたので、二次会はパス。

帰宅してみると、赤ワインが認知症に効くというニュース。「あるある大辞典」を思い出してしまうのは私だけだろうか。納豆ダイエットの例もあるので慎重になりたいところだが、事実とすれば画期的な話だ。まだボケる齢ではさらさらないが、若年性認知症というものもあるので、気にかかるところである。
ところで、これは通常の記銘力の低下にも効果があるのだろうか。認知症と記銘力の低下はまた異なる概念なので、この点は詳しく知りたい。やはり精神機能が衰えるのは辛い。吉本隆明は「老人は超人間である」と規定するが、この辺はまだ充分な研究がなされていないだろうし、全ての老人が白川静のような途轍もない仕事をなし得るわけではないだろう。
尤も私などは、酒が苦手で家では全く飲まないので、予防薬のようなものを開発して欲しいと思う。

テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

正義の人びと
風呂釜が壊れた。ひどいもんだ。
武富士が会社更生法申請だが、派遣やパートなどの従業員の行く末が心配だ。「悪いやつをやっつけろ」で済むような単純な話ではないと思うが、どうだろう。

あと、来月からのタバコ値上げ問題。私はタバコを吸わないのだが、禁煙運動の連中の居丈高な物言いには反発を覚える。まるで月光仮面気取りだ。自己陶酔的というか、正義漢ぶって人を倫理的に脅迫する連中が多すぎないか。
正義は政治用語である、と述べたのは寺山修司だった。少なくとも、慎重な姿勢は忘れたくないと思う。

テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

持続する志
「ゴルゴ13」(監督:出崎統 脚本:長坂秀佳)
一部ちゃちなCGが煩わしいが、まずまずの良作。杉野昭夫の作画は相変わらず美しい。
個人的に出崎の演出はアヴァンギャルドだと思っているので、遠慮せずにどしどし我流を貫いて欲しいところである。
ただ、「止め絵」は一枚の絵をじっくりと見せるものなので、描きこみが必要となる。やはりこの人には杉野昭夫の存在は欠かせない。杉野の参加しない作品では惨々たる有様を露呈することがあるからだ(例:「AIR」他に「雪の女王」でもひどい回があった)。
それにしても、「あしたのジョー」から「源氏物語」まで付き合い続けている身としては、幸福な映像体験だった。

なお、出崎・杉野作品で、私のお気に入りは池田理代子原作の「おにいさまへ」である。あの原作で、よくもあれだけの大傑作を作り上げたものだと、感心せざるを得ない。

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瑳川哲朗納谷悟朗

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笠原弘子戸田恵子

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テーマ:私が観た映画&DVD - ジャンル:映画

「評論家やカウンセラーは米を買う…」
気温が下がってから、よく眠れない日が続く。そのせいか、どうも精神的に失調気味だ。胃も痛い。
テレビをつけると、例のニュースの話ばかり。だが、どのコメントを聞いても釈然としないのはどういうわけだろう。なんだかこの雰囲気、既視感がある。そうだ、拉致問題のときだ。

アンドレ・ジード「新しき糧」を途中まで眺める。例によって、蔵書の消化作業である。このあたりのジードのテクストはキリスト教的告白が鼻につく。まぁ、結論を出すのは読み終わってからだ。決して急ぐまい。

テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

「絶対」の探求
劇場版「BECK」(監督:堤幸彦)がかなり評判を落としている。ロック映画にもかかわらず、歌声を流さない演出に非難が集中しているということらしい。本作は未見であるが、毎年のようにワーストランキングに名を連ねている監督なので、とりたてて擁護しようとは思わない。
ただ、ここに孕まれている問題については思うところがある。
手塚治虫の「ブラック・ジャック」にこんな話があった。
核実験で被曝した画家(確かゴ・ギャンという名前だ)が、脳腫瘍を患いながら畢生の大作を描き上げるというもの。ストーリーは素晴らしいのだが、完成した絵がそれほど優れたものとは思えず、首をかしげたものだった。
逆の例が山本夜羽の「マルクス・ガール」。美術部の部員達が共同制作の大傑作を制作するのだが、こちらでは、「絵」を読者に見せないようにしている。結果として、拍子抜けした、物足りない印象を受けた。
今考えると、手塚のストレートな手法は案外馬鹿に出来ないかもしれない。「絶対の傑作絵画」を絵として見せてしまうこと。そんな無理を如何に納得させてしまうか、そこがドラマ作りの勝負どころということだろう(ただ山本の場合、見せないなら見せないでもう少し何とかなったような気がする)。
同様の課題を抱えた作品が美内すずえの「ガラスの仮面」である。「紅天女」が、劇作品としてそんなに素晴らしいものなのか、不安を抱えた読者も多いだろう。
作中にその「傑作」がまともに描かれるにしろ、描かれないにしろ、如何に読者、聴衆を納得させるか、そこに製作者の手腕が掛かっていると思える。

テーマ:雑記 - ジャンル:サブカル

荒んだときは「昼寝のすすめ」もいいかもしれない
一日中曇天模様のすっきりしない天気。
今日は雑事にかまけていて、あまり色々なことに想いをめぐらす余裕がなかった。情けない限りである。
新聞、テレビなど、どちらを向いてもあまりいいニュースが流れてこない。挙句はこちらの心まで荒んでくる。こんなときは静かに音楽でも聴いているといいだろう。



テーマ:今日の1曲 - ジャンル:音楽

ア、秋
急に秋めいてきた。やたら肌寒く感じる一日である。
若くして自死した作家によれば、秋は夏と同時にやってくるという。夏のうちに全部、身支度を整えて、せせら笑ってしゃがんでいるそうだ。まぁ、「小さい秋見つけた」という歌があるくらいだから、観察力のある人ならばそこかしこに秋の気配を見出すのだろう。
私など、「あちーあちー」とボヤくだけで、秋の兆しなど、考えたこともない。身辺がバタバタしているというのは事実だが、頭の中がぐうたらに出来ているというのが真相だろう。
どだい、風流とは縁がない性質らしい。

テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

吉本隆明と道徳文化批判
久方ぶりに「吉本隆明全著作集4 文学論Ⅰ」を繙いてみる。
収録内容は、「マチウ書試論」「民主主義文学批判」「社会主義リアリズム論批判」などで、学生時代、死に物狂いになって読んだ本である。創造行為を「有用性」だの「道徳性」だのといった呪縛から、何とか救い出したかった。この点、左右両翼の連中は、その姿勢において殆ど変わることがなかった。いずれも作品を、倫理的に人々を嚮導するための媒介項としか見做していなかったのである。この構図は現代の規制動向においても大きくは変わっていない(規制反対派の論者においても、「作品と倫理」という呪縛に囚われる人が珍しくない)。
そんな窮屈な精神状態にあった私にとって、吉本の諸論文はかけがえのない糸口だった。吉本の論稿は、基本的に社会主義芸術批判であるが、あらゆる教条主義的な芸術論に通用する、徹底したものだった。そして、その意義は今日においても色褪せることがない。
いくつか引用すると、
「芸術が、創造者をはなれて他に何らかの影響をあたえるのは当然であるが、そのあたえかたは、それぞれの享受者の社会的状態と人格的状態によって、まちまちであることはあきらかなことである」
「もし、ひとつの文学作品があって、これらの先生(註:前述の有用性論者)がもっている甘い菓子のようなイデオロギイ把握に不快感をあたえたり、これを打ちくだいてしまったとすれば、いかなる意味でも「我々」にとって役立つのである」
「しかも、この(註:役立つという)問題は文学、芸術の価値からいえば第二次的なもの以下としてしかあらわれない。」
こうしてみると今日の表現規制問題が、当時の水準から一歩も出ていないことに改めて唖然とするしかない。吉本隆明は、この点から見ても今日なお、重要な思想家である。

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テーマ:紹介したい本 - ジャンル:本・雑誌

「カバー曲を歌う感覚に近いですね」
「映画秘宝」最新号を買う。
やはり、瀬々敬久「ヘヴンズ・ストーリー」への山崎ハコの出演が話題だ。主題歌のついでに出演するのではなく、あくまでも女優としての招聘というのも注目したいポイントである(尚、敢えて主題歌には起用していない)。

ハコ姉さんはどうもあの曲のイメージが強過ぎるため、聴き手側に一種の固定観念が出来てしまう。ミュージシャンとしては不幸というしかない。中島みゆきから「うらみます」しか連想できないようなものだ。
色々不遇な時期もあったようだが(一部で問題になっている「ブリキのマーチ」は未聴)、今後、一層活動の幅を広げていって欲しいと思う。

で、あの曲。私も好きな名品。



テーマ:今日の1曲 - ジャンル:音楽

「次は「三島由紀夫」を撮ります」
「キャタピラー」をもう一度観たくなったので、先日、若松孝二オールナイトに行ってきた。
色々新たに気づいた点があったので、もう少ししたら纏めてみようと思う。
トークショーで、監督は「来年は二本撮る」と宣言していた。
次回作は山口二矢かと思いきゃ、「三島由紀夫」とのこと。山口二矢、永山則夫、三島由紀夫を一本の作品で描くような話をしていた。以前から山口二矢を撮ると明言していたのだが、どうも構想が変わっていったらしく、三島をメインに据える事になったようだ。この構成だと、どうだろう。「異常者の血」や、「拷問百年史」のような形式になるのだろうか。
また、三島については「性輪廻」で既に取り上げているが、どのようなアプローチになるのだろうか。まさか「実録・連赤」のスタイルで描くことはあるまいが(あれは例外的な作品だと監督があちこちで語っている)。
あと、「今度の三島映画で昭和を撮ることは終わりにする」とも語っていた。おやおや、この前「現代を取り上げてもつまらないから「昭和」を描くんだ」と語っていたと思うが、気が変わったのだろうか。
まさか、引退するわけではないだろうから、それはそれで歓迎すべきことではある。やはり、若松監督にはストレートに現代を描いて欲しい。無論、「連赤」も「キャタピラー」も現代を射程に入れているには違いないが、現代と如何に向き合うかを、率直な形で作品にして欲しいと思う。その点、相棒の足立正生からもガンガン挑発して欲しいところだ。

三島由紀夫あるいは空虚のヴィジョン (河出文庫)三島由紀夫あるいは空虚のヴィジョン (河出文庫)
(1995/12)
M・ユルスナール澁澤 龍彦

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無知の涙 (河出文庫―BUNGEI Collection)無知の涙 (河出文庫―BUNGEI Collection)
(1990/07/10)
永山 則夫

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テーマ:公開予定前の映画 - ジャンル:映画

自濁能力というものがあってもいいのではないだろうか。
例の石坂啓のインタビュー記事。大筋は同意できるのだが、微妙にブレのある発言が多い。特に以下の点は気になるところである。

「女から見てやっぱり酷いなぁと思うマンガもあるしね。許せないものもあるし」
ならば、男性から見て酷い作品もあるだろうし、許せないものもあるだろう。こんな言い方をしたら好き嫌いの問題に収斂するしかない。不毛な議論である。大体、作家達が「許されたい」などと思うか?

「表現の自由を唱える前に子どもに影響を与えるんだってことは自覚するべきだと思う」
表現者は常に一定の覚悟を持つべきである、という意味ならば同意する。が、彼女の言い回しはかなり危ういものを含んでいる。
これでは「どんな表現でも悪影響を与える可能性がある、だから取り締まるべきだ」というロジックに絡めとられかねないからだ。この論理でいくと、募金団体の広報活動が殺人を惹起するかもしれないし、朝の挨拶が性犯罪を引き起こすかもしれない。「可能性」を排除しようとしたら、万人がコミュニケーションを全て遮断し、世捨て人になるしかないだろう。

「マンガの表現は豊かですから、もともと自浄能力というものがあるんです」
これについては反論というよりも、あくまでも文化論としての提起になるが、自浄能力があるのなら、自濁能力があってもいいのではないかという気がする。浄化された、当たり障り無い作品などより、「何だ、こんなもの描きやがって!」と人々を驚倒させる作品にこそ真実はある筈だ。言い換えれば、作品のノイズ性である。嫌ったらしさといってもよい。ディアギレフの言い草ではないが、「僕を驚かせてみたまえ」というわけだ。
手塚治虫が愛したのは「がきデカ」である。このことを忘れるべきではないだろう。

無論、石坂啓はこの種の議論については既に充分承知のことと思う。だが、今回のインタビュー記事には不用意な、脇の甘い発言が多すぎるので気になった。

テーマ:その他 - ジャンル:その他

改造内閣ねぇ
作業中に突然ネットに繋がらなくなる。おいおい、勘弁してくれよ。しばらく放置すると復旧。ウイルスも特になし。何だったんだ。
非実在青少年について、昨日の話の続きをしようと思ったが、急な仕事が入ったため、時間が取れない。また次回にします。

少し前に買った本。山口清一郎を論評した「日活ロマンポルノ異聞」は些か物足りなかったが、こちらはなかなか面白い。

若松孝二―性と暴力の革命若松孝二―性と暴力の革命
(2010/08)
鈴木 義昭

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テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

「あらゆる感覚の錯乱により未知に達する」 A.ランボー
例の非実在青少年の問題で、「週刊金曜日」に石坂啓のインタビューが掲載されている。基本的には同意するが異論もある。ここで述べ立てようかとも思ったが、この話、長くなりそうなので後日にまわす。こだわりがあるのだ。

田代まさしの逮捕やら、押尾学の判決やら色々かまびすしい。私はもとより薬物には何の関心もないが、正直、このニュースは鬱陶しく感じる。
ところで、ミュージシャンのアレック・エンパイアは「反ドラッグこそ現代の反体制、反権力(無論、肯定的な意味)である」と提起している。別にいい子になろうとしているわけではない。「若者をドラッグに溺れさせ、得をしているのは誰か考えて欲しい」ということである。これはなかなか興味深い。少なくとも業界内部において、ドラッグ=反体制という変な固定観念に囚われた風潮に、一石を投じる意味はあると思う。
そんなわけで、今日はヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「ヘロイン」を聴いて寝よう(・・・って、オイ!)。

テーマ:今日の1曲 - ジャンル:音楽

「身体のあとから、ゆっくり僕は地べたへ行く筈だ」
「一度阿片を識った後では阿片なしには生き難い。何故なら、一度阿片を識った後は大地が真面目にとり難いから。それなのに、人が聖者でない限り、大地を真面目にとらずには生き難いから」(J.コクトー「阿片」堀口大學訳)

田代まさし逮捕。いろいろ下らないことを考えたが、まだ詳しい事情がわかっていない段階で、あれやこれや発言するのも不謹慎かと思えるのでやめておく。やり切れないニュースだが、ただ「創」の篠田博之編集長には、これからも支援をやめないで欲しい。


テーマ:思ったこと・感じたこと - ジャンル:日記

怪談新耳袋 ツキカゲ
北島マヤ-光浦靖子
姫川亜弓-大久保佳代子
月影千草-マツコ・デラックス

キャスティングを見て思わずコケる。「ガラスの仮面」45巻刊行にあたっての宣伝用ポスターとの事。つまり、白泉社によるセルフ・パロディである。
しかしよく思いついたな。昨日の「新耳袋 怪奇」を遥かに超えている。「森三中版キャッツ・アイ」の路線だが、マツコを起用するあたりのセンスがすごい。速水真澄役は誰が適任だろうか。やはりウド鈴木とか、ガッツ石松とか・・・

それはそうと、45巻。私は連載は読んでいないのだが、あのまま亜弓が失明してしまったら、どう考えてもマヤの影が薄くなる。そうなると、そのまま亜弓が主人公になってしまうのではないか。そのあたり、納得いくようなストーリーがちゃんと準備されているのか、気になるところだ。

ガラスの仮面 1 (花とゆめCOMICS)ガラスの仮面 1 (花とゆめCOMICS)
(1976/04)
美内 すずえ

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テーマ:マンガ - ジャンル:アニメ・コミック

やってしまった・・・
「怪談新耳袋 怪奇」(監督:篠崎誠 脚本:三宅隆太)
本作は前半の「ツキモノ」、後半の「ノゾミ」の、異なる2本の短編作品から構成されている。正直、全体的に残念という他ない。特に「ツキモノ」の出来の悪さは痛ましい限りである。
ホラーとしてのどうしようもなさはさておき、本作を「人間関係の困難さをメタファーとして表現している」と考えてもいいかもしれない。だが、このテーマ、突き詰めても仕方がないんじゃないか。もう「エヴァンゲリオン」で充分だよ。
主人公の気の使い方も頓珍漢だが、大体、あれだけの憎悪をぶつけられたら、どんな親友同士でも絶交するだろう。「見ざる聞かざる言わざる」などという水準の問題ではない。
それに、人間関係は「背負う気」があろうとなかろうと、否応なしに背負わされているものだろう。ハイデッガーのいう「被投性」の問題である。少なくともこの切り口からは、答えの出ない隘路にはまり込むしかないと思うが、どうだろうか。

一転して、「ノゾミ」はストレートで、ドラマとして出来がいい。特に「めぐみ」「のぞみ」という名前の暗示するものには心を留めて欲しいと思う。また、「見えないものが見えるのは霊能力じゃない、想像力があるからなんだ」というくだりはとても心に残った。
ただ、映画としては画面の作りにもっとこだわって欲しい。あれだとテレビドラマと変わらないだろう。また、主人公の無駄に緩慢な動きも何とかならなかったかと思う。あれでは観客は飽きてしまうし、同じ演出意図でも別の方法がなかっただろうか。

kaiki

テーマ:私が観た映画&DVD - ジャンル:映画

身体性の問題
小嵐九八郎「日本赤軍!世界を疾走した群像」(図書新聞刊)を読む。
「図書新聞」に掲載された、塩見孝也、重信房子など赤軍派関係者へのインタビューを収めたものである。
私は一般に活動家の著述というものをこのまない。読んでいて窮屈になるからだ。
試みに、前衛党と称する連中の文献を数日間読み耽ってみるといい。物事に対する、自らの感性やイマジネーションが恐ろしく貧困になっていくことに気付く筈だ。「政治の幅は生活の幅より小さい」と喝破した埴谷雄高は偉大というしかない。尤もこんな正論は連中には通じないのだが。この種の政治主義者は政治活動以外の価値を認めようとしない。これを人間的な頽廃という。
この本にしても、価値があるのは足立正生と若松孝二のインタビューのくだりである。二人とも根っからの映画人だ。特に足立正生の発言は今も尚新鮮である。
彼は「今の若者は利口だし、ちゃんと頑張っている。世代論で貶すようなアホじゃない。ただみんなパッケージ化されていて息苦しい状況におかれている。そこで若者の身体性に賭けたいと思う」と語る。
この「身体性の回復」というテーマは、少々判り難い。「幽閉者」のインタビューを読むと何となく判るような気もするが、もう少し考えてみたいと思う。

日本赤軍!世界を疾走した群像―シリーズ/六〇年代・七〇年代を検証する〈2〉 (シリーズ/六〇年代・七〇年代を検証する 2)日本赤軍!世界を疾走した群像―シリーズ/六〇年代・七〇年代を検証する〈2〉 (シリーズ/六〇年代・七〇年代を検証する 2)
(2010/09)
塩見 孝也和光 晴生

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腰痛の合間に
一日中ひどい腰痛。椎間板ヘルニアの宿命である(手術したのは10年以上前)。
この間、谷啓の訃報、さくらんぼ小学校の騒動など、書くべきことは色々あったのだが、腰のつらさは如何ともしがたい。
特に後者、どさくさにまぎれて規制を言い募るワイドショーのコメンテーター共は許しがたい。
同人サークルは限られた人同士で、フィクションの幻想を楽しんでいるだけに過ぎない。これに対し、ニュース、ワイドショーは自らの嗜好を視聴者に押し付け、悪煽動を繰り返す。どちらが悪質かは歴然としているだろう。この連中こそ野放しにするべきではないと思われるが、如何。

「週刊金曜日」で非実在青少年の記事。「ふたりエッチ」の克・亜樹と友田亮(「ヤングアニマル嵐」編集長)を迎えての鼎談。なかなか面白い。
その他、平井玄の「キャタピラー」評がユニークだ。この映画についてはもっと詳細に論じてみたいが、その前に今一度じっくり観る機会が欲しいところだ。

何やかや言いながら長々と書いてしまった。早く横になろう。

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語り継がれる9.11
9月11日といえば、1973年のチリにおける、ピノチェトの軍事クーデターの日である。サルバドール・アジェンデの民主的な左派政権は覆され、アジェンデは殺害。以降、長期にわたる軍事独裁政権が成立する。ガルシア・マルケスの「戒厳令下チリ潜入記」はこの時期のルポルタージュである。毎度の事ながら、この事件の背後にはアメリカの後押しがある。また、歌手のビクトル・ハラがこのクーデターに楯突いて殺されたことも記憶しておくべきだろう。
ところで、数年前「ぜんぶ、フィデルのせい」という映画が公開された。監督はコスタ・ガブラスの娘、ジュリー・ガブラスである。アジェンデ政権を支援する両親に翻弄される、幼い娘を主人公としたホームドラマ。物語はコミカルなタッチを交えながら進んでいくが、やがて9.11のクーデターがやって来る。全ての夢の崩壊。テレビの前で無言で立ち尽くす父親に対し、主人公がそっと手を取るシーンが実に素晴らしい。少女はいつの間にか、父親を支えるまでに成長していたのだった。
とても心温まる名品である。



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テーマ:思ったこと・感じたこと - ジャンル:日記

クソリアリズムの説得力
昨日名前を出したので、挙げておく。
観る機会は少ないかもしれないが、「山谷 やられたらやり返せ」(監督:佐藤満夫、山岡強一)も労働問題を考える上で必見である。
いずれも技術論を超えた、なりふり構わない凄みのようなものが溢れている傑作。正しいだけで何の映画的感動もない凡百のドキュメンタリーとは、一線を画している。



テーマ:★おすすめ映画★ - ジャンル:映画

資本主義といかに付き合うか
「キャピタリズム マネーは踊る」(監督:マイケル・ムーア)を観る。
相変わらず編集方法はあざといが、侮れない作品である。私はムーアの初期作品こそ知らないが、いくつか作品を見た限りでは、いずれも根底に資本主義批判を潜めていると思えた。ただ、「ザ・ビッグ・ワン」などと比べると、作風にあまり余裕がなくなっている。もうなりふり構っていられないのだな、という印象を受けた。
資本主義が悪と矛盾を抱えているのは100年以上前から原理的にわかっている。だが、それを踏まえた上で、我々はどこに向かっていくのだろうか。吉本隆明はこの資本主義を「人類の無意識の産物としては最高の作品」とした。あくまでも「無意識の産物としては」という、限定された評価である。人が目的意識的に歴史を作るに値するかどうかはわからない。現在までのところ、社会主義国家の例に見るように、マクロ的な分野では到底成功しているとはいいがたい。
映画では、嘗てのニュー・ディール政策にヒントがありそうだ、としている。特に大戦後の戦後処理政策について言及したくだりは興味深い(このあたり、我が国も他人事ではない)。無論、そこにバラ色の未来が開けているという訳では決してないだろう。だが、検討するのも「悪くない」という点には合意したいと思う。
ラストに「インターナショナル」が流れてきたのには驚いた。かなり腹を括ったのだとおもう。ちなみにこれはパリ・コミューンの歌である。

尚、この作品と合わせて「フツーの仕事がしたい」(監督:土屋トカチ)を観ると、彼我の問題点がより浮き彫りになってくるかと思う。


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テーマ:私が観た映画&DVD - ジャンル:映画

「ポルノはそれ自体擁護される資格を持つ」
本日の朝日新聞朝刊「性描写漫画規制の条例案 都、9月議会見送りへ」
廃案にしないところが忌々しい。また、見送りと見せかけてやっぱり提出なんて可能性も無い訳ではない。いずれにせよ、油断は出来ない情勢が続くと思える。
(※本日のタイトルはケネス・タイナンの文句。日活ポルノ裁判で山口清一郎監督が援用したものである)

漫画家のダーティ松本さんの動画作品


テーマ:気になったニュース - ジャンル:ニュース

台風接近中!
携帯からのブログ更新が不調のようだ。すぐに反映されないのはまずいだろう。

先日言及した「怪奇十三夜 妖怪血染めの櫛」(監督:中川信夫 脚本:八尋不二)。あまり体調は万全とは言えないのだが、待ちきれず鑑賞する。テレビ向けとはいえ、侮れない怪作。脇役の蟹江敬三の存在感が圧倒的だ。貧乏長家の庶民的バイタリティを一手に引き受けている。話自体はやや手垢にまみれた感もあるが、実に力のある作品だった。

ところで先程も、本稿とほぼ同じ内容で携帯から更新したのだが、いまだに反映されていない。ひどいね、こりゃ。また2日くらいかかるのだろうか。一体どうなっているんだ。

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それから、深津絵里がモントリオールで受賞した。「フラガール」のリ・サンイル監督が、かなり自信を持っていたようなので、気になってはいたのだが。それにしても、寺島しのぶの時よりニュースの扱いが大きいような気がするが、気のせいだろうか。

テーマ:私が観た映画&DVD - ジャンル:映画

「われわれがSFに見出しているのはわれわれの思想である」
ジャン・ガッテニョ著「SF小説」(クセジュ文庫)読了。
タイトル通り、SF小説に関する包括的な論稿であるが、やたらゴチャゴチャしていて散漫な印象を覚える。
SFの創始者として、著者はヴェルヌよりもウェルズに比重を置き(リラダンやポーはやはり少し違う)、
E.R.バローズ、ハインライン、ヴァン・ヴォクト、ブラッドベリといった作品群にスポットを当てる。
ニュー・ウェーヴ作家は名前こそ登場するが、言及は少ない。また、反ユートピアの系譜としてザミャーチン、オーウェル、ハックスリーなどに重点を置いていることも本書の特徴である。
本書の大半は、これら膨大な作品群の特質、性向の分析に当てられているのだが、SF小説を読みなれた立場からすると、「科学」との関係に拘泥し過ぎている気がしないでもない。これがあまり重要ではないことは、我々にとってもはや自明の理であろう。もっともこれには、門外漢に対する啓蒙といった意味があるのかもしれない。
幾分異論を覚える点はあるものの、示唆に富む、有意義な本だと思う。




根津甚八が引退した。色々病気に苛まれていたらしく、大変だったろうと思う。特に椎間板ヘルニアは、私も患っているので辛いのはよくわかる。
彼は状況劇場、つまり唐十郎の劇団出身。映画でのデビュー作は「濡れた賽の目」(監督:若松孝二 脚本:荒井晴彦)。若松プロが日活に売った映画である。
根津が封印したがっているという噂を聞いたことがあるが、「赤P」をめぐる騒動の後、若松-荒井関係がようやく修復した時期の作品なので、機会があれば観てみたいと思う。


テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

かなりしつこい
風邪のぶり返し。寝込んだまま、不毛な一日を過ごす。改まった読書も出来ず、映画秘宝「日本映画縛り首」の単行本や、その他マンガなどを眺める。
先日ブックオフで「怪奇十三夜 妖怪血染めの櫛」のDVDを購入したのだが、お預けとしよう。体調の良い時に観ないと中川信夫に申し訳ない。

テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

心優しき叛逆者たち
「バーダー・マインホフ 理想の果てに」(監督:ウル・リデル)がDVD化されたらしい。
タイトル通り、ドイツ赤軍(RAF)の顛末を描いた作品。私は公開時、渋谷の劇場で観たのだが、観終わった後に何も心に残るものがなかった。何か、派手にドンパチやってたなぁというのが正直な感想だった。娯楽としてキャッチーに仕上げた分、表現に身体性が失われたと思えるからだ。決して悪い映画とは思わないが、やたら絶賛するようなものではない。
また、一部の左翼の連中がこれを観て「ドイツは歴史を総括している!」なんて能天気な事をホザいていたが、これって、要は運動が体制に取り込まれてしまった、無害化されてしまった、ということだろう。だから問題無くメジャーで制作できる。確か最後の方に「夢を見るのはやめなさい」という一言があったと思うが、そこに全て集約されていると思える。
そんな中、「映画芸術」における批判記事は面白かった。足立正生にいわせれば、ウルリケやバーダーの人間的な葛藤が何も描かれていない、体制側の人間がやたら理想化されている、フリーセックスを巡るパレスチナ人との確執は嘘である、ということだ。また、脚本家の荒井晴彦からは、これじゃあギャングと変わらない、との批判が提起された。
・・・何だか批判的なことばかり書き連ねてしまった。繰り返すが、本作は決して駄作というわけではない。RAFの歴史はよくわかるし、退屈させることの無いつくりになっている。ただこの作品が、若松孝二の連赤映画にも共通する重大な困難を抱えていることは事実だ。特に本作では幕引き願望が顕著であり、「凄い、凄い」では済まされない引っ掛かりを後に残したように思う。

バーダー・マインホフ 理想の果てに [DVD]バーダー・マインホフ 理想の果てに [DVD]
(2010/09/03)
アレクサンドラ・マリア・ララモーリッツ・ブライプトロイ

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テーマ:私が観た映画&DVD - ジャンル:映画

「累の後日のお話でございまする」
病み上がりで出勤するが、ボロボロ。ぶり返してきた感あり。まぁ明日には復調しているだろうと、いい加減な観測を決め込む。

で、「真景累ヶ淵」だが、本作は累(かさね)の祟りとは直接の関係はない。一応累の後日談となってはいるが、基本的にはオリジナルである。深見新左衛門と皆川宗悦の敵同士、親子二代にわたる因縁話で、怪談色も前半のみに止まる(豊志賀の件りは有名)。大きく分けて三つのパートに分かれ、豊志賀の死までを第一部、勘蔵の死、新吉お賤の逃亡までを第二部、それ以降を第三部と考えてよいだろう。第三部は殆ど仇討ち物で、相撲取りの花車重吉が弁慶顔負けの大活躍をする。
会う人会う人が全て、因縁で結ばれている点は、聞きしに勝るおどろおどろしさで迫ってくる。
複雑なパズルがかちりとはまり、全てに片が付いた所で物語は大団円を迎える。際限なく広がるかに見えたストーリーが、圧倒的な吸引力でひとつに収斂していくあたり、もはや力技という他無い。

尚、私は圓生の「豊志賀」のCDを聴いているが、現在は歌丸の全編収録版が完成しているようだ。
なぜかこちらでは「豊志賀」が実質カットされたというが、先日、歌丸版にて「豊志賀の死」別途発売された模様なので、一度聴いてみたいと思う。

真景累ケ淵 (岩波文庫)真景累ケ淵 (岩波文庫)
(2007/03)
三遊亭 円朝

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恢復期にて
昨日からずっと風邪。熱が下がらず、一晩中よく眠れない。今日の夕方になって漸く恢復する。
三遊亭円朝「真景累ヶ淵」を読了。「お前さんも、不実な人だねぇ」で知られるあの噺である。感想は明日。
尚、ちくば学芸文庫の「幽霊名画集」はホラー・怪談好きなら是非とも手元に置いておきたい一冊である。

幽霊名画集―全生庵蔵・三遊亭円朝コレクション (ちくま学芸文庫)幽霊名画集―全生庵蔵・三遊亭円朝コレクション (ちくま学芸文庫)
(2008/08/06)
辻 惟雄

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テーマ:オススメの本 - ジャンル:本・雑誌



プロフィール

のわーる

Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



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