時を告げない大時計
映画やら書物やらをめぐる、つれづれなる断想など
ひとつの死
塩見孝也が亡くなった。
今更解説するまでも無いが、共産主義者同盟赤軍派の建党者である。この人と直接会ったことは無いが、とにかく良い噂を聞かない人だった。彼に親しくなればなる程、やたら悪口ばかり言う人が多くなるのが特徴的だった。いい例が後に戦旗派を築いた荒岱介だろう。「昔は塩見さんの言ってることが全然わからなかった。今でもよくわからない。わからなくて良かったんだな!」といった具合である。
関西ブント時代に荒をオルグするため、床下に穴を掘って待ち受けていたというようなバカバカしい内輪話はまだいい。だが、妄想めいた前段階武装蜂起論、仏徳二リンチ事件などの醜悪な活動に至っては擁護しようが無い。
出獄後の連合赤軍総括論争では責任を森恒夫達に全部押し付けたり、北朝鮮をやたら称えてみせたり、民族主義団体を作ってみせたり、目に見える範囲でも珍プレーが多すぎた。あまり関わりたくないというのが、わたしを含めた大方の印象ではないだろうか。
学生の頃、塩見の家にはレーニン全集が一揃いあるきりで、他には何も無かったという。武装闘争と内ゲバに明け暮れ、獄中二十年。出獄後は駐車場の管理人として細々と暮らし、3・11後の情勢に対しては何とかしたいと思っていたようだが、そのままひっそりと亡くなっていった。荒岱介のように晩節を汚すことこそ無かったが、この人の人生は一体何だったのだろうな、と思えてならない。「「憂鬱なる党派」の岡屋敷のように生きられたら幸せなんじゃないか」と彼は語っていたというが、実際はどうだったのだろうか。

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雑想2017.9.24
PCのアクシデントでハードディスクの中身がパァになった為、このブログの下書きも消えてしまった。情けない話で、折角なのだからもう少し丁寧に書き直すことにして、差し当たりやくたいもない事を書き連ねることとしよう。
巷では愚かな独裁者が核実験やミサイル発射を強行し、これに対して劣るとも勝らない知能を持った政府閣僚が、開戦前夜のごとく煽り立て、武器輸出の算盤を弾く超大国が手ぐすねを引いている。挙句の果ては難民を射殺するなどとのたまい出す有様である。そういえば昔、「武装移民」なんてのがあったな。どこの国がやったんだっけ?ああ、日本が満州でやってたんだ。
この連中の描き出す三文小説では、日本は国家存亡の緊急事態の渦中にあるのだろうが、何故かこの後の国会で衆院解散総選挙を強行するらしい。随分のんびりした緊急事態である。
運動圏ではスターリニスト共が我が物顔でのさばり返り、「異論を持つものは全て差別主義者」だなどと喚き散らし、脅迫活動に明け暮れている。これに同調する者も少なくない。この連中は過去の運動の歴史から何も学ぼうとしないのだろうか。「新左翼はテロリストだ!俺たちとは違うのだ!」などと考えているとすれば、コケの集まりである。「やらない善よりやる偽善」という言葉もあるが、やってはならない悪というものもあるのだ。

映画の話でも語ろうかと思うが、先日、誤って「トランスフォーマー・リベンジ」なる代物を借りてしまったため、停滞したままである。率直に言って、このシリーズは好きではないのだ。今回も冒頭三十分で、何だかどうでも良くなってしまった。
書物ではマーヴィン・ピークの冗漫な「タイタス・グローン」を四苦八苦して読みきったのが災いしたか、その後何も読む気が起こらなくなってしまった。これではまずいと、引き続き生田耕作「ダンディズム」を読み終えたが、これも今ひとつ興味をそそられず。さらに、カントの「永遠平和のために」を読んで色々メモを作っていたが、PCのクラッシュで全て吹っ飛んでしまった。よって、今は語りたくはない。目下、スタニスワフ・レムの「枯草熱」を読んでいるところである。

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黒い九月
小池百合子都知事は関東大震災時の朝鮮人虐殺に関し、追悼文の送付を拒否している。
表向きの理由は「人数が明確でない」からだという。だがこの理屈はおかしい。詳細な調査は必要だろうが、数多の(六千人といわれる)人間が殺されている事実がある以上、追悼を拒否する理由など存在しない。
よって、この人物の狙いは別のところにある。すなわち、「虐殺など無かった。追悼など必要ない」ということだ。まず追悼文を拒否すれば、自称愛国者界隈が盛り上がる。「虐殺など存在しない、反日パヨクのデマだ。実際は朝鮮人が各地で暴動を起こし、井戸に毒を入れて回っていたのだ」云々といった、90年遅れのたわ言だ。こうした声が次第に大きくなり、やがて無視できない勢力となっていく。メディアでも一定の発言力を確保し、ついには公人レベルで「幻だった」と事実上公言できるまでに至らしめる。そういった筋書きが透けて見える。
ここで小池が責任を問われることは無いだろう。建前上は「人数の検証云々」という形式を取っているために、「虐殺を否定した覚えは無い」という言い逃れが可能なのだ(この種の言葉の詐術は小池や安倍のような輩の専売特許ではなく、左派の活動家にもまま見られることである)。
小池は記者会見において、「震災で亡くなられた方に哀悼の意を表する」として、虐殺事件を一般的な被災の中に埋没させてのけた。事件の記憶を徹底的に封殺しようとする意思が為政者の中にあり、それを有権者が支持し続けている。「ファースト」の幻影はどこまで人々を狂わせ続けるのか。

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雑想2017.7.2
都議選、わたしは東京都民ではないのだが、印象を一言でいうと、コレラが減衰してペストが蔓延したというところだ。まぁ、朝テレビをつければ連日都民ファーストの動向と、安倍政権の不祥事(何を今更)のニュースが流れてくるのだから、結果は目に見えていた。結局はイメージの抗争でしかない。
これをもって、遂に民意が目覚めたなどというのはおめでたいと思う。こんな事は今迄にも散々目にしてきた筈だ。

この間に読んだ本
・櫛木理宇「ホーンテッド・キャンパス 白い椿と落ちにけり」
相変わらずだが、シリーズの中では平均的な出来栄えか。この手の小説はさらりと早く読めるのはいいが、少し時間を置くと印象に残らなくなってしまうのは困ったものだ。つまり早い話、あまり内容を覚えていない。
・櫛木理宇「侵蝕」
洗脳ホラー小説。出来は決して悪くはない。だが、「一番怖いのは人間だ」という、尤もではあるがありきたりの結末は、流石に拍子抜けの感も否めない。
本作とは話がそれるが、この「一番怖いのは人間だ」というテーマは、一歩間違えると性格の悪いバカが暴れているだけの話にもなりかねない。やはり「一番怖いのは幽霊だ」という方向性は蔑ろにしないほうがいい。
・ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」
いわずと知れた、古典的ホラー小説。ジャンルとしてあまりにも弄られ過ぎたため、中々原点を顧みる機会がないのが殆どだろう。改めて読むと、決して莫迦にできたものではなく、なかなか引き込まれる。19世紀末の小説作品として、もっと広く読まれていい。
・カール・セーガン「コンタクト」
北杜夫がやたら推していた作品。いつか読んでみようと思って延び延びになっていたものである。印象は、左程でもない。決して悪い作品ではないが、凄いとも思わない。主人公達の活躍が、全て無かった事にされていく件りはなかなか厳しく、結末で一応逆転(?)した格好になっているが、カタルシスはあまり感じない。両親との関係の方が、心に響いた。
出張中なので、感想は改めて更新する事としたい。

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日本から少し離れて~大陸編 (4)
このブログで数度にわたって掲載してきた中国訪問記であるが、切りがなくなってきたので、今回で終了とする。駆け足であるが、後程加筆することもあるだろう。一旦まとめて書き上げてしまう。

(承前)
一旦ホテルにチェックイン、休憩し、食事をとった後、鳴沙山に向かう。よく知られた観光地なので、ご存知の方も多いだろう。わたし達が砂漠と呼んでイメージする通りの風景が広がっている。途轍もない砂の大地だ。果てしなく広がる風景に、呆然とする。唐の時代は、この砂漠の彼方から突厥の軍がやってきたのだろうか。

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ここで駱駝に乗った。両足を輪に引っ掛けて、よっと立ち上がるとなかなか背が高い。時刻は既に夕方をまわっているが、敦煌の夜は遅く、まだまだ日中の明るさである。砂漠に日は落ちて・・・よくよく見るとこの駱駝、なかなか可愛らしい。降りた後、思わず首筋を抱きしめた。ちょっと得意げに澄ましている様子だった。

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夜がとっぷりと暮れた頃、夜市をまわる。掏摸が多いので気をつけるようにと警告される。お土産など様々で高価なものから安物まで多様であり、目移りしてしまう。今日は見るだけに収めようと、皆でシシカバブを食べる。胃がボロボロなのだが、無理して食べる。通訳のJさんは桜桃を大量に買わされていた。どうするんだ、これ。

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夜市を散々まわった後、蘭州ラーメンを食べる。これも無理して食す。味は・・・やや微妙。芥子ペーストのようなものがあったので、それで味を調整する模様だった。尤も、わたしの体調ではそれも叶わないのだが。

翌日。朝食はヨーグルトで済ます。心なしか、体調が大分違う気がする。博物館で観光案内のビデオを観た後、莫こう窟へ向かう。山の斜面にアリの巣のような無数の穴が開いている。世界屈指の仏教美術の拠点である。窖の中で懐中電灯を照らし、これでもかと言わんばかりの作品群にとにかく圧倒された。

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有名な反弾琵琶はそれ程目立つものではなく、ついつい見過ごしてしまいそうになるが、これに目をつけた人間は見る目がある。いいセンスをしているものだと感心した。ガイドが或る鳥の絵を指して、これはカショービンガですと解説している。カショービンガ?ああ、迦陵頻伽か。僭越であるが、訂正しておいた。
再び博物館。展示物を見学する。張騫の存在が本国ではかなり大きな扱いを受けているのが印象的だった。わが国でも世界史の教科書に名前が出るが、当地では偉大な英雄である。

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夜は演劇場で舞踏を観る。正直あまり関心が無かったので、渋々付き従ったのであるが、これがなかなかの収穫だった。ストーリーは昔話を基にしたもので、典型的な勧善懲悪物なのだが、衣装と舞が洗練されていてしばし幻惑された。

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翌日はヤルダン地質公園に向かった。荒れ果てた砂漠の中を車で進む。途中に見える草は、名高い駱駝草か。駱駝しか食べないという、鋭い棘のある植物。

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昼頃、公園に到着。何だこの岩は。砂地が削られ、風化していった果てに残された岩石群である。まさに奇岩と呼ぶにふさわしい。そういえば「火の鳥」で、人間がこんな岩に見えるという描写があった。あんな妙ちきりんな形状である。ここでは観光バスで、園内をグルグル観て回った(とにかく広いのである)。三蔵法師玄奘をはじめ、古の隊商もこんな岩を目撃していたのか。

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昼食の後は東に戻り、玉門関に向かう。ガイドと西遊記をめぐり、熱っぽく語ってしまった。偉そうに、ひどいもんだね。今思えば汗顔の至りである。
玉門関といえば河西回廊の最西端。西域への交通路。ここから西には遥か彼方まで砂と岩ばかりで何も無い。だだっ広い砂と礫、あるいは先程のヤルダン地形のような風景が続くわけだ。まさに最果ての地に設けられた関所である。諸星大二郎の西遊妖猿伝では玄奘がここを迂回して莫賀延磧に足を踏み入れる。当時、突厥との緊張関係から国境が閉ざされていた為である。漫画に描かれた風景と重ね合わせ、しばし物思いに耽った。正直、諸星大二郎と、漢文、世界史の記憶があれば、充分色々語れてしまうものである。

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夜、再び夜市に向かい、土産品などを買う。木彫りのプレートやら装飾品やら雑多な品物が色々並んでいる。ふと、赤い手帳のようなものが目に留まった。毛沢東語録だ。日本円で四、五千円くらいか。買っていく程酔狂でもないが、手にとってパラパラと眺めてみる。と、乱丁に気が付いた。途中から頁が上下さかさまになっている。店のオバちゃんにそれを指摘すると、大爆笑。そのまま二人でしばし笑っていた。と、このオバちゃん、そのまま乱丁の語録を店頭に並べ直した。やるもんだねえ、この庶民的バイタリティは憎めない。
翌日、北京経由で羽田に向かうことになった。なかなか愉快な体験をしたこの地ともいよいよお別れである。朝方、しばしホテル周辺を散歩した。ホテル前を流れる大きな川は、冬になると干上がってしまうのだという。結構広い川なのだが、日本では想像もつかない。実にスケールの大きな話だ。さらに足を延ばすと、市役所の前で体操が行われていた。ラジオ体操みたいなものだろう。敦煌市の中心には大きな反弾琵琶の像があるのだが、この像ともいよいよお別れか。敦煌のガイドにはお世話になった。深謝したい。

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・・・こう綺麗に終わればいいのだが、北京空港で唖然とした。外の風景が黄色い。何だこれは。飛行機を降りるときは嫌な気分がした。この空気は吸いたくない。それにしても北京の税関は時間が掛かりすぎる。とんでもない行列だった。しかも空港がやたら広く、迷いそうになる。冷汗三斗の思いで何とか飛行機に乗り、何とか帰国の途に着いた次第である。

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プロフィール

のわーる

Author:のわーる
首都圏に生息する一介の映画バカ。といってもまだ映画歴は浅いため、大家の作品をあまり見ていなかったりする。
たまに衝動的におかしな絵を描いたりもする。
尚、この「のわーる」という名前は同名の素晴らしいアニメ作品とは直接関係は無く、サド侯爵の登場人物の名に由来するものである。



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